『帰還兵の戦争が終わるとき』(トム=ヴォス他著、草思社、2021年)という本があります。
著者はアメリカ合衆国の帰還兵で、イラン・イラク戦争に従軍した人です。
帰還兵は、精神的な傷を負っており、自殺率が大変高いそうです。そして、その傷が癒やすことは困難で、彼らは、いつ自殺しようかと日々考えたり、麻薬等の中毒者になったりして、余生を送る人が多いとのことです。
帰還兵の精神状態を著者は「モラル=インジュアリー(道徳的負傷)」という言葉で表現しています。この状態は、小児性愛者にも似ていると言えるでしょう。全員に当てはまるかどうかは知りませんが、自身の倫理的な感覚に照らし合わせて、ペドフィリアという状態に苦しむ人はこれに該当するでしょう。
著者は、数多くの治療を試みたにも関わらず、効果がなく、アメリカ大陸横断の徒歩旅行を試みます。
その途中、ある瞑想法に出会い、何となく行ってみるうちに、効果を感じ始め、遂には快癒してしまいます。
この瞑想法は、「アートオブリビング」という団体の「サハジサマーディ」という瞑想のことです。
他に、マハリシ=マヘーシュ=ヨーギによる有名なTMという瞑想でも、戦争帰還兵の精神的外傷の治癒に取り組んでいるようです(アートオブリビング創始者であるシュリシュリ=ラビ=シャンカールはマハリシの弟子)。
以前、「エキストラレッスン」のような、肉体から働きかけていく治療法を紹介しました。治療法というよりも、発達遅滞のある部分に働きかけることで、発達を促し、発達障害の障害を緩和していくものなのですが、精神医学的治療と全く関係ない瞑想という方法によって、戦争帰還兵の精神状態が改善するとは、驚くべきことです。
瞑想は、小児性愛者にも何かしらの良い効果がありそうです。