川端康成がペドフィリアだったかどうかは不明ですが、少なくとも共通した心理的部分を持っていたことは間違いありません。
川端の描く「少女」は、たいていは14歳から16歳くらいのようです。しかし、その少女へのあこがれの気持ちと美しさへの視点は、ペドフィリアに通じるものがあります。
2作、紹介します。
一つ目は『みずうみ』。生徒と交渉をもって追われる教師の話です。そして、その主人公は、美しい女性に没入して後をつける性癖から逃れられません。その原因を幼少期の体験に由来するとしているのは、ナボコフの『ロリータ』と同じです。
二つ目は、有名な『眠れる美女』。睡眠薬で眠らされた16歳くらいの少女たちに添い寝する老人の話です。
こういうものはアイデアとしては今ならありがちでしょうが、ノーベル文学賞を取った作家の文体で書かれると、ペドフィリアの性向も芸術的に昇華できるのではないかと希望を持つことができるようになります。
ただ、明るい話ではありません。